アナグラのshinです。
以前、クラウドファンディングサイト“Makuake”にて、世界最薄クラスのオープン型 完全ワイヤレスイヤホン『YOBYBO CARD20』を応援購入しました。
あれから数カ月。 ようやく手元に届いたので、それまで愛用していた同じオープン型イヤホンの“EarPods”(有線)の代替として使えるかに注目して使ってみました。
また、機能性や使い勝手から、どういった使用用途に合うかも考察してみましたので『CARD20』が一般販売開始の際に購入するかどうかの参考として、なんとなく“使った気”になればと思います。
CARD20の外観 世界最薄クラスのフォルム
箱は近年の流行り「iPhone式梱包」です。
割と雑な感じで入っていて、クラウドファンディングのリスクを感じさせるスリリングな演出が粋ですね。(たまたま…… だと思います)
色はブラウンを選択。 ロゴはシンプルでスリムなフォルムを邪魔したくなかった為、「YOBYBO」のロゴ無しを注文しました…… が、あります。
きっと「これでも喰らえ」というメーカーの演出だと思います。 とんだ傾奇者ですね(誉)。
付属品は“説明書”と“充電ケーブル(タイプC)”の二つだけです。 またケーブルがふえますね。
『CARD20』本体は、世界最薄クラスと謳っているだけあり、薄くコンパクトで片手で握った時に収まりがよく、ちくわやうまい棒の上をいく握りやすさです。
これだけコンパクトだと服のポケットに入れても嵩張らない所が、他の完全ワイヤレスイヤホンと一線を画す『CARD20』の強みだと思います。
例えば、一般的な完全ワイヤレスイヤホンのケースはある程度コンパクトな設計になっていますが、服のポケットに収めて持ち歩くというよりは、鞄に入れた時に省スペースで済むといった感じです。
『CARD20』は服のポケットにいれても、存在感を感じにくく、鞄から出し入れするより服のポケットから出し入れする方が身近で圧倒的にラクだと感じます。
フタはケース内のイヤホン本体が見える様にくり抜かれており、閉じた状態でイヤホンのタッチセンサーにあるLEDランプと、ケースのバッテリー残量を示すインジケーターが見える工夫がされています。
イヤホンをケースに収めると電源がOFFになり、LEDが赤く点灯し充電中である事を示します。 充電が完了するとLEDが消灯します。
ケースのバッテリー残量を示すインジケーターは3つのLEDランプで示しており、おおよその残量を把握する事ができます。
イヤホンとフタはマグネットでカチっと収まり、全てのパーツがしっかり噛み合って1つのモノになる気持ちよさみたいな感覚があります。
ケースは薄くコンパクトですが、過不足なく必要最低限の状態を把握する事が出来る視認性の良さを備えた、デザインと機能性を両立したデザインだと思います。
イヤホン自体は、“EarPods”と比べて若干小さいくらいなので、それが薄いケースに収まる様にデザインされている事にパズルのピースがハマるような気持ちよさがあります。
ちなみに本体重量は34gとアルミ製のボールペンを持っているような軽さです。
きき流しにピッタリなCARD20の音質
オープン型イヤホンは、カナル型イヤホンと比べて遮音性がない為、重低音や低音の響きについて、良く言えば自然、悪く言えば迫力に欠けるのですが、聴き疲れし難く耳への負担が少ない所が魅力です。
『CARD20』に、高音質でじっくり音楽を楽しむ用途を期待して購入を考えている場合はおすすめしません。
重低音が効かない所は『CARD20』も「EarPods」も同じです。 また低音~高音までの聴こえ方も「EarPods」と比べて軽い印象ではあるものの、最低限の音質は備えていると思います。
この違いは音量を上げるほど顕著に感じます。
“EarPods”と比べた場合、音量を上げるほど低音と中音の量感はより軽く感じます。 重低音の響きに迫力はありません。 高音は透明感に欠け、音の解像度が低い為、ハードロックなどの同時に楽器の響きが重なるような楽曲だと、混ざり合って耳に刺さるようなシャカシャカ音に聴こえる事があります。
しかしオープン型イヤホンで音が軽く大音量での運用が厳しいという点は、使い方次第でメリットにも感じました。
ランニング中に『CARD20』を30~40%程度の音量で使用してみたのですが、イヤホンを装着していても普通に周囲の音が入ってくるので、安全に気を配りつつ音楽を楽しむなら、音の主張が強くない方が都合がいいです。
完全ワイヤレスのカナル型イヤホンの中には「外音取り込み機能」が付いているものがあり、外の音を取り込みながら音楽を流す事ができるのですが、その機能がずっとONになりっぱなしになっている様なものだと思います。
飽くまで「外音取り込み」だけを比べた場合ですが「外音取り込み機能」の様な物として『CARD20』を見た場合、外音の聴こえ方と音楽の聴こえ方のバランスは“外音取り込み機能をもったカナル型イヤホン”より優れていると感じました。(TE-D01d mk2とWF-1000XM3にて比較した感想です)
買い物をしている時に店内BGMが流れている感じなので、自分のパーソナルスペースを音楽の雰囲気で満たす様に「軽く聴き流す」使い方に合っていると感じました。
ただポジティブに捉えられない点として、音楽が鳴っている時には分からないけど、無音の時にだけ気づく程度の微かなホワイトノイズがありますので、微かでもホワイトノイズが苦手という方は購入を避けた方が無難だと思います。
逆にホワイトノイズがたまらなく好きな方は“楽器をもっているだけで誰でも演奏できる”で有名な、ジョン・ケージの「4分33秒」を心置きなく楽しめると思います。
(音質の確認は10時間ほど鳴らした段階のものです)
CARD20の操作性
もしかしたら、不良品を引き当てた可能性もあるので、操作性についてレビューするのが心苦しいのですが…… 恐ろしく悪いです。
イヤホンのヘアライン加工された小さい円形の部分がタッチセンサーなのですが、L側の再生/停止や、R側の曲送り/戻しのダブルタップをなかなか認めてくれません(笑)
自動販売機に何度投入しても認めてもらえず戻ってくる100円硬貨ってありますよね。 あの切ない気持ちが味わえる機能なのかもしれません。
スーパーのレジ前で、店員さんの言葉が聞こえる様に、音楽を止めようと左耳をトントン、トントン、トントントントンしている怪しい人物がいたら多分それは僕です。
ダブルタップのタイミングやタップする指の位置など、操作として認めてくれる判定がシビアな印象です。
そしてダブルタップの狭き門を通過して操作が反映されるまで1秒ほどと少しレスポンスが遅いのが特徴ですが、今のところ何が不具合で何が仕様なのか疑心暗鬼になっています。
決して操作を認めてくれない訳ではないので「CARD20」の秘孔を極めんと日々トントンしていますが、面白いので返品交換するつもりはありません。(そこまで困ってないので)
それとタッチセンサーの操作では音量の“上げ/下げ”がそもそも出来ないので、操作性では「EarPods」の方が良いですね(苦笑)
電源のON/OFFは、イヤホンのケースのフタを開けたらONになり、ケースにイヤホンを格納してフタを閉めればOFFになります。
CARD20の付け心地
イヤホンの付け心地はコードの無い“EarPods”です。
イヤホン自体の重さも『CARD20』と“EarPods”で同じ3gなので、iPhoneユーザーには勝手知ったる付け心地だと思います。
また“EarPods”は有線なので、コードの重さやしなりで下へと引っ張られて耳から外れる事がありますが、完全ワイヤレスの『CARD20』はコードの重さに引かれない分、耳で安定して外れ難くいです。
試しにパンテラを聴きながらヘッドバンキングをしてみたのですが『CARD20』は耳から抜け落ちる事がなく、首をやっちまったので、EarPodsでの検証はしていません。
バッテリーの性能
バッテリーはイヤホン単体で4時間再生となっていますが、実際にバッテリーが切れるまでに掛かった時間は約3時間30分なので、ロッシーニの「セミラーミデ」が最後まで聴けるか聴けないかくらいの時間です。
ケースで4回の充電が可能との事なので、ケース込みだと約14時間ほど使える見積もりですね。
ケースの充電はtype-Cケーブルを裏側に挿し込んで充電します。
オープン型イヤホンは耳に優しく聞き疲れしにくいので、個人的にはもう少しイヤホン単体での再生時間が長いと良かったなと思っています。
通話の性能
通話の性能については、最低限の会話ができる程度で通話音質は悪いです。
「CARD20」を通して相手に届く声は、ガサガサとしたホワイトノイズと共に届き、相手の声は遠くこもったように聞こえます。
また通話がよりクリアになると言っていた“CVCノイズキャンセリング機能”は、車1台が横を通りかかっただけでも相手から「何が起きてる? すごい音がする」と言っていたので、クリアに騒音が伝わっているようです。
通話に関しては相手の声もこちらの声もハッキリ聞こえる“EarPods”にまだまだ出番がありそうですね。
Bluetooth接続の安定性
『CARD20』はBluetooth5.0搭載なので、音楽の再生機器がBluetooth5.0に対応していれば、高い安定性を感じます。
例えばBluetooth5.0対応の“Xperia 1”だとドア1枚隔てて7~8m離れても途切れる事はありませんが、Bluetooth4.2対応の“Xperia XZs”だと2~3m離れただけで、音が途切れ始めます。
何にせよ再生機器を鞄やポケットに入れて使用する分には何も問題ないので、安心して使えると思います。
CARD20が向いている用途
- ランニング、ウォーキング、ハイキング、釣りなどの際に、荷物を減らしたい。
- 音楽を聴きながら、周囲の音も聞きつつ安全に配慮したい。
- 耳への圧迫が少なくラクなイヤホンが良い。
- 寝る前に横になって軽く(少音で)音楽やYoutubeなどを楽しみたい。
- 私は世界最薄クラスの完全ワイヤレスイヤホンを持っている者です。 とドヤりたい。
暫く使用してみて、上記の様な用途に向いていると感じました。
特に就寝前の使用中では、寝返りで横を向いても、枕側のイヤホンから耳への圧迫が少ないのが地味に嬉しい所でした。
同じ状況でも“EarPods”の場合、圧迫はそれほどないのですが、コードが邪魔で寝返りをうつ度にコードが絡まない様に気にしていました。
『CARD20』はワイヤレスなので、今は寝返りをうつ度に幻のコードが絡まないように体をまさぐっては「はっ! ワイヤレスだった!」となる日々です。
不具合? ウォークマン NW-A105との相性が悪い?
ウォークマンの“NW-A105”とペアリングして使用していると、高確率で数分後にイヤホンの電源が勝手にOFFになります。(アプリの使用有無にかかわらず数分後にOFFになります)
“NW-A105”はOSが「Android 9」なので、原因の切り分けの為「Android 9」のスマホ端末とペアリングして使用してみましたが、スマホ端末では不具を再現できませんでした。
“NW-A105”の件に関しては不具合なのか機器間の相性の問題なのが不明ですが、『NW-A100』シリーズでの使用を検討している方は購入を控えた方がよさそうですね。
今後、不具合の原因が特定できて解消または回避方法が分かりましたら、追記したいと思います。
ちなみに複数のOS端末で不具合の有無を確認してみましたので参考になればと思います。
- Android6(Xperia Z3 tablet compact)画面点灯時は問題ないが、スリープ(バックグラウンド)での使用だと数分でイヤホンの電源が落ちる。
- Android 7(Xperia Z4 tablet)特に問題無し。
- Android 8(Xperia XZs)特に問題無し。
- Android 9(Android S3)特に問題無し。
- Android10(Xperia 1)特に問題無し。
- iOS12.4.6(iPhone 6)特に問題無し。
- Fire OS6.3.1.5(kindle2018モデル)初回ペアリング時に不安定な挙動有りますが接続後問題無し。
おわりに
“EarPods”の代替品として、オープン型イヤホンでワイヤレスのモノを探していた時に見つけた『CARD20』でしたが「世界最薄クラス」という時点で音質に過度な期待はありませんでした。
宝くじを1枚買ったから、当たったらいいなと当日だけ思うくらいの期待感でしたから、実物が届いて音質を聴いた瞬間、予想通りの物が来たなと喜びも落胆もありませんでした。
でも「世界最薄クラス」の取り回しの良さは予想を上回る便利さで、服のポケットにずっと入れていても不快感がなく、一番取り出しやすい所にあるせいか、音楽を聴いてる時間が増えました。
例えばバスを待っている時にも、スマホをいじっていてふと音楽を聴こうと思った時に鞄の中のワイヤレスイヤホン取るより、ポケットに突っ込んだ手に「CARD20」が当たってるからそのまま取り出して聴いたり─
結果的に『CARD20』は“EarPods”の代わりになるどころか、オープン型イヤホンを使う場面も時間も増えて、代替品以上の活躍をしてくれています。
取り回しがいいって結構、重要な事だなと改めて思いました。 だから、タッチセンサーの感度の悪さは悔やまれるなぁ。 ずっとトントンしてるよ。
ここまで記事をお読み頂き、ありがとうございました。
PCとSONY NW-A45でも同様の現象が起きました。5分ジャストで切れることからbluetooth接続ができていないとみなされているかも知れません。
アナグラのshinです。
貴重なコメントありがとうございます。
ペアリングが確立して、暫くはイヤホンから音も鳴るし操作も受け付けるので切れる原因が分かりません。
少し調べてみたのですが、Bluetooth接続なら機器の違いに左右されないはずなのに、接続が切れるもの、切れない物の違いがでるのが不思議です。
通信プロトコルを独自拡張していて、通信を継続するのに必要なプロファイルのやり取りが上手くいかない機器(OS)があったり無かったりしているのかなと妄想しています。
CARD20をもっと弄って遊びながら原因探れたらと思うんですが、忙しさで時間が割けなくて大したこと言えなくてごめんなさい。