戦闘機を操って重力と慣性を振り切る快感! 「Jet Lancer」をレビュー

アナグラのshinです。(前置きがうるさいから飛ばす

重力とそれに抗う推進力から生まれる独特な慣性を、苦労と経験の積み重ねを経て、自分の思い通りに自機をコントロールできた時のカタルシス。

僕はこの快感を最近はもっぱらswitchで配信されているファミコンソフト「バルーンファイト」で満たしていました。

ヘルメットをかぶり、体に括りつけられた風船で手をばたつかせながら飛ぶ姿は体を張った“昭和のお笑い芸人”もしくは“やんちゃが過ぎるYoutuber”を彷彿させる所が愛らしいので好きなゲームです。

ですが飛ぶ為の推進力は、Aボタン(手パタパタボタン)を連打している僕です。 人力です。 右手だけ太くなりそう。 そんなことになったら––

「お前なんでそんな右腕だけムキムキなの? シオマネキ? まさか! ……やりすぎは良くないって聞いたよ?」

「いや違う! あのこれはゲームのせいで(あわあわ)決していかがわしい事してシオマネキになった訳じゃなくて」

「いかがわしい? 何のこと? バルーンファイトじゃないのか?」

「バルーンファイトだよ!!」

「お前…… 泣いてんのか?」

「泣いてるよ!」

と、恥ずかしいやら情けないやらで泣かされる羽目になるかもしれません。

ジェット!

しかし時代は変わりました。

5月12日に発売されたswitch版ダウンロード専用ソフト『Jet Lancer』も重力と推進力と慣性のバランスを制御する所は「バルーンファイト」と同じですが、推進力が“ジェット”です。 ボタン連打しなくてもいいんです。

これであらぬ疑いをかけられるんじゃないかと人目をはばかる必要はありませんね。

「Jet Lancer」のファンキーな機動力と操作方法

このゲームに向いている人の1例として“戦闘機” “赤い機体” “前進翼” “マクロスせbun”といったキーワードだけで抑えきれないロマンが体からにじみ出てカブトムシが寄ってくるくらいの人には、ゲームをプレイする過程で経験するどんな困難も乗り越えられる素質があったり無かったりする、と思います。

その理由は基本的な操作にあります。

左スティック照準(機首の方向)
ZRボタンスラスト(ジェット排気)
ZLボタンアフターバーナー
Aボタン機関銃
Lボタン武器使用(ミサイルなど)
Bボタンダッジロール(回避)

『Jet Lancer』は2D画面上を縦横に自機を飛ばすことでフリーにスクロールするシューティングアクションゲームです。

カッコイイ登場シーン

プレイ開始直後、自機は画面右へと進みながら登場し、ミッションがスタートします。 何も操作しないでいると、右へと進む慣性だけで進み続けますが、重力によって徐々に下へと落下して、やがて墜落します。

スラストは無制限に使えてスイスイ飛べます。

ZRを押すと、押している間だけスラスト(推進力)で機首の方向へ進みます。 このスラストと左スティックでドッグファイトさながら自由に飛び回ることができます。

スラストだけでも「バルーンファイト」とは比較にならないほどのスピード感と空を飛ぶ爽快感があります。

そうはいってもZRボタンを押し続けていれば左スティックで飛ぶ方向を制御するだけなので、これだけならただのラジコンです。

『Jet Lancer』の面白い所は、ファンキーな飛び方にあると思います。

例えばドッグファイトで良く起こる“敵機がピッタリ自機の後ろに張り付いてくる”状況。 ZRのスラストを一旦切って、慣性だけで飛んでいる状態で機首を後ろに付いてくる敵機に向け、機銃で撃破したり––

進行方向とは真逆に向かいたい時に、急激なV字方向転換をしたり––

上への慣性と下への重力が拮抗しているので、地上目標をゆっくり狙えます。

自機のスピードに対して動きが遅い地上敵機に対して、スラストの推進力を微調整(ジェットを小刻みに吹かす)してホバリングの様な状態で飛ぶことで、地上敵機の周辺をゆっくり飛び回って長時間、機銃で集中攻撃を仕掛けることも可能です。

プレイ中は自機を撃破しようと大量の敵機が湧き、敵弾が縦横無尽に飛び交います。

接触してしまえばもちろんダメージを受けてしまいますが『Jet Lancer』が面白いと感じるもう一つの要素として、どんな攻撃も回避できるダッジロール(Bボタン)があります。

ジャスト回避成功

ダッジロールを使えば自機が短時間無敵状態になるので、敵弾や敵ミサイルだけでなく敵機との接触すら回避して素通りすることができます。 また攻撃が当たる直前のタイミングで回避すると、しばらくのあいだ機銃の射撃レートが向上する、といったアクションゲームでよくある“ジャスト回避”の要素もあります。

プレイ中は自機も敵機もかなりのスピードで飛び回っているので、接触事故が多発しますが、ダッジロールを駆使して敵の機銃をかわし、ミサイルを振り切って、敵機をいなしてノーダメージで切り抜けた時はエースパイロットになった気分です。

L字型のゲージがアフターバーナーのゲージです。

極めつけはアフターバーナー(ZLボタン)です。

アフターバーナーは、使いすぎるとオーバーヒートして暫く使えなくなる制限があるものの、スラストよりも急激な推進力が得られるので、更に高速で飛び回ったり、進行方向に対しての慣性を瞬時に打ち消してより鋭角な方向転換を可能にし、ホバリング時の微調整でも活用できるので、戦闘妖精 雪風もびっくりするファンキーな機動を得られます。(気になる方は「雪風 発艦シーン」と検索してみてください。 ゲーム内で同じ様な事ができます。)

これらの操作でスピード感のある飛行ができますが、それに加えて攻撃をしなくてはならないので操作が煩雑になる場面が多々でできます。

例えば、Lボタン(デフォルト)で多数の追尾ミサイルを一気に放つ攻撃ができるのですが、Lボタンを押しっぱなしにしてゲージが最大までたまった所で放すと最大数のミサイルを打ち出せます。 最大数のミサイルを打ち出す為に、Lボタンを押しながら左スティックで機首の方向を定めつつスラスト(ZR)やアフターバーナー(ZL)で飛び回り、敵機に機銃(A)を撃ち、敵からの攻撃や衝突をダッジロール(B)で回避するのは慣れが必要です。

これらの操作を、敵も味方もかなりのスピード感で動き回る中で判断し行わなければならず、最初の頃はミサイルに当たるわ敵機に突っ込むわでダサい飛び方しかできなかったのですが、簡単な練習をするだけで“謎の戦闘機”“赤い機体”“前進翼”のキーワードにロマンを感じる人なら誰でもすぐ慣れます。

その方法は攻撃は一切せずに飛び交う敵機の中をダッジロールとスラストとアフターバーナーを駆使してひたすら飛び回るだけです。

その時に「戦争なんてくだらねぇぜ! 俺の歌をきけぇぇ!」と言って、ファイアーボンバーの「突撃ラブハート」を歌えばより気分が盛り上がります。(もしくはTRY AGAIN、PLANET DANCEも捨てがたいですね)

いきなり一気に全ての操作を行おうとせずに、まずは飛行と回避だけに重点をおいて数十分くらい慣らしているだけで、けっこう動きが良くなって回避の成功率も上がり墜落もほとんどしなくなりました。 プレイする方はぜひ試してみて下さいね。

5月20日現在プレイしている多くの人たちにとって、オペレーション15が高難易度の鬼門になっていて、制限時間内に60000点のスコアを稼ぐことがクリア条件になっているのですが、練習の甲斐あって無事クリア(Dランク)する事ができました。 恐らく心の操縦桿を折られる事なくOP15を何度もリトライしてクリア出来るかどうかが、ロマンの強さを試されるところだと思います。

(噂では開発元がクリアに必要なスコアを半分にするパッチを準備中だとか。 高難易度のOP15をプレイしたい方は今しか遊べないかもしれませんね)

機体のカスタマイズで難易度が変わる

『Jet Lancer』はミッションクリア型のアクションシューティングです。 フィールドを移動してオペレーション(ミッションのゲーム内表記)のアイコンを選択し出撃です。

オペレーションが進むと猫の整備士が仲間になり、新たな武装を入手しつつカスタマイズが可能になります。

やっぱりマクロスを思い出しちゃう

カスタマイズの項目の「INSTALLED MODULES」では、機体の性能を変化させるパッシブスキルの様なものがあり、同時に4つまで装備できるのですが、どの機能を選択するかで画面右下にある「easy/hard」のゲージが“easy側”か“hard側”のどちらかに伸びます。

シールド展開中

パッシブスキルには被弾するとしばらくのあいだシールドで守られる機能や、地面へ墜落しそうになっても自動でそれを避ける機能、一撃で撃墜されてしまう代わりに機動力が上がるものなど様々で、ミッションをクリアする事で種類も増え、どのパッシブスキルを装備するかでプレイのニュアンスが変わる事で、結果的に難易度を細かく変化させる仕組みになっています。

おまけ程度のストーリー

気になる伏線ですね。

『Jet Lancer』にはストーリー性があり、オペレーションの合間に挟まれる登場人物同士の会話テキストを読む事で楽しめます。

主人公のAshは傭兵で、機体のAIに幽霊が撮り憑いていると噂される政府払い下げの試作戦闘機を操るパイロットです。

AshとCaptain

傭兵としての仕事を斡旋する、Captainと共に危険な組織“空賊”退治を請け負っていた。

果たしてAshは戦争が下らなく見え、敵をディスりまくるデスメタルバンドを結成し大空にそのデスボイスを響かせるのか? それとも世相を皮肉る社会派ラッパーとして空の隙間をニヒリズムというリリックで満たすのか?(※そうゆうゲームではありません)

どんなストーリー展開なのかは、ぜひプレイして確かめてみて下さいね。

おわりに

シルエットでもかっこいい

『Jet Lancer』をプレイして最初に“ラジコンみたい”という感想をもちました。 ゲーム性がチープという悪い意味ではなく、ラジコン操作の様に上手くなればなるほどいろいろ試したくなる楽しみが広がるという意味合いでの“ラジコン感”です。

巨大なボスとの戦闘

操作に慣れていない時は、ひたすら機銃とミサイルをばら撒くトリガーハッピー状態で撃墜され爆散していましたが、慣れてくると冷静に対処できるようになります。

今ではピッタリ付いてくるミサイルや敵機を地面ギリギリまで急降下したあと急上昇する事で意図的に墜落させたり–

ホバリングで同じ場所に留まり続け、ダッチロールで攻撃を避けながら、固定砲台さながらに四方八方を攻撃するなどなど、操作する楽しみがしっかり感じられるゲームだと思います。

瞬間移動並みの超機動で体当たりもできます。

各オペレーションはクリア後のリザルト画面でランク付け評価されます。 最高ランクのACEを狙うのも一つの楽しみ方ですが、個人的には「機銃だけでクリアする」とか「体当たり(そういう機能があります)だけでクリアする」といった縛りプレイも楽しいのでおすすめですよ。

記事ではswitch版を紹介しましたが、switch版/Steam版ともに1520円(税込)です。

ここまで記事をお読み頂き、ありがとうございました。

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