先日、みんなの食卓でありたい松屋が、オリジナルカレー(390円)の販売を終了し、新しいカレー『創業ビーフカレー(490円)』の販売を開始しました。
販売が終了したオリジナルカレーと比べると100円高い『創業ビーフカレー』ですが、この値上がりで気になったのは、カレー専門店チェーン最大手である「ココ壱番屋」のビーフカレー(641円)のクオリティにどれほど近づいたのか、151円の差を食べ比べてみました。
松屋の『創業ビーフカレー』
まずは松屋の『創業ビーフカレー』です。
目の前にあると、香りだけでもスパイシーなデジャヴを舌に感じるほど香ばしいですね。
スプーンでカレーソースをすくうと、ドロドロまではいかない適度な粘度で、以前のオリジナルカレーと同じに感じますが、どこをすくってもほぐれて筋状になった牛バラ肉に当たるビーフカレー感に以前との違いを感じます。
食べてみると肉汁の旨味や甘さの後に、ターメリックを効かせているのかほのかな苦みがあり、キリっとして力強いカレーといった印象を受けます。
また、カレーソースの舌触りに、筋状になるまで溶け込んだ牛バラ肉で、肉々しさを感じさせてくれます。
そのせいか、具らしいものはトロトロ食感の小さめサイコロみたいな牛肉の塊が2つ3つ入っている程度ですが、カレーソース自体のビーフ感が強いので不足を感じる事がなかったです。
全体的には大味な印象を受けそうなハッキリした力強い味わいのカレーソースですが、肉の旨味と甘味からのスパイスの切れで、味の奥行がありバランス感覚半端ないって! と思いました。
ココ壱番屋のビーフカレー
ココイチのカレーにはビーフとポークの2種類からカレーソースを選択できますが、もちろんビーフを選択。(辛さも普通で、調味料を加えるのも無しで食べました。)
見た目の無駄のなさ、まるで枯山水のようですね。(かれーさんすい、かれさんすい、枯山水)
でも、見た目だけではなく味も優しく落ち着いた印象のカレーソースで、調理過程に濾す一手間をかけているのか、舌触りは非常に滑らかで粘度は低めのサラサラしたカレーソースです。 「カレーは飲み物」との名言を実行するなら僕はココイチのカレーを選びます。
どこか懐かしさを感じるような、家庭的なカレーソースの味に上品さを感じる滑らかな舌触りですが、『創業ビーフカレー』のような味の主張は薄いです。
上質な出汁(ベース)といった趣で、ソースや醤油、スパイスなどがテーブルに用意されている事、豊富なトッピングがある事から、最終的に食べる人が好きなように仕上げて完成するカレーといった印象です。
しかし、そのベースがどんな仕上げにも対応する柔軟さで、ここにココイチに多くの人が足を運ぶ理由があるのかなと感じました。
もう一つ気づいた点として、いつ食べても味のクオリティが同じ点です。
カレーを扱う多くの飲食店に見られる事なのですが、カレーをすぐ提供できる様に、カレーソースの入った鍋をお湯に浸けて温めた状態をキープする方法があります。
この方法だと、注文を受けてから提供するまでマッハですが、ずっと温めているおかげで水分が飛び、時間が経つほどにしょっぱく濃い味になっていきます。(注文するタイミングによって味が変わります。)
これを防ぐ為には、注文を受けてから、人数分を別の鍋にわけて温める手間を掛けなければいけませんが、ココイチのカレーはいつ行っても同じ濃さなので、注文を受けてから温める手間を惜しんでいないのかもしれません。(厨房を覗いてないので断言できませんが……)
なにはともあれ、ココイチのカレーは滑らかで、どんなトッピングにも合う安定感が高いカレーソースです。
151円の差
今回の記事を書くにあたって、友人にも手伝ってもらったのですが、松屋とココイチ、どちらのカレーが美味しいと感じたか尋ねた所、松屋の『創業ビーフカレー』の方が分かりやすくて良かったとの事で、それに比べてココイチのカレーは物足りなく感じるそうです。
僕は滑らかな舌触りと、自分好みに仕上げられる質の高いソースという印象でココイチのカレーが好みです。
味に関して言えば個人差が大きく出る所なので、どちらも美味しく食べれて優劣をつける所ではないと思っていますが、クオリティという点ではココイチのカレーソースには手間暇を感じるので、差を意識する点ではあります。
それが151円分の差か? と問われると、分からなくなってしまいました。 分からなくなてしまい考えすぎておかしくなっていたのか、気づいたらまた松屋とココイチをはしごして2つのカレーを買っていました。
ニコイチのカレー
持ち帰りで松屋の『創業ビーフカレー』とココ壱番屋の「ビーフカレー(ソースのみ)」を買ってきました。
急に部屋から出て行ったと思ったら、二つのカレーを持って戻ってきた僕を見て「なにやってんの?」と友人が怯えていました。
友人の目が連続でカレーを食わされてるせいか死んでいました。
「151円の差が分からないから、二つのカレーを混ぜて手打ちにしよう」
「はぁ? なにいってんの?」と見開いた友人の目がギラついていたので、こいつはまだ食えるなと安心して二つのカレーを混ぜ、事を進められました。
そして出来たのが、二つのカレーから一つのカレーを生み出す錬金術。
「ニコイチのカレー」です。(これでもう、迷わない。)
友人にニコイチを差し出すと、性懲りもなく目が死にかけるので、景気づけに盛り上がる音楽を流しました。
筋肉少女帯の「日本印度化計画」です。
友人が無反応なので大丈夫かな? と心配していると、流れ作業の如く淡々とスプーンを掴みカレーソースをすくって口に運びました。
すると友人が「美味い」と言うので、2/3以上は食べさせるつもりでしたが気が変わりました。
食べてみると、上質なココイチのカレーをベースに松屋の力強いカレーが合わさって、二つの良い所だけが主張されている様な味のカレーになり、確かに美味しいカレーになっていたので、キッチリ半分に分けてお互い完食しました。
さすがにココイチのカレーの滑らかさは混ぜた事で無くなりましたが、『創業ビーフカレー』を味わい深いカレーへと引き立てている印象です。
家庭でカレーを作るときに特長の違う二つのルーを混ぜ合わせてカレーを作ると美味しくなるって言うじゃないですか。 あれです。
お互いカレーを完食したあとに、僕は友人にココイチで持ち帰りのカレーを待っていた時の話をしました。
「ルーだけ持ち帰りだと368円だったんだけど、おみやげ用のレトルトカレーも368円だったんだよね」
そう言うと、友人の声が日本印度化計画の音量を上回れないものだから、唇の動きでしか判断できなかったのですが「もうやめて」と言った気がしたので、これで終わる事にしました。
まとめ
今回の記事を書くにあたって、他の知人や友人に松屋とココイチのカレーではどっちが好みか訊いたのですが「松屋」と答える人が多く、さすが松屋はキャッチ-で人を引き付ける味のカレーだなとしみじみ思いました。
僕はココイチのカレーが好きなのですが、玄人好みのいぶし銀なカレー、という事にしたいです。(少数派なのかなって不安になったのでカッコつけたかったんです。)
松屋のカレーはワンコインでおつりが来ると考えると、味の安定感には欠けるものの十分すぎるほどカレー専門店に煽りをかけられる実力だなと感じています。(実際、店内で食べた時と、しばらくして持ち帰りにしたカレーで味の濃さが変わっていました。)
松屋カレー派が多いのも頷けますね。
ここまで記事をお読み頂き、ありがとうございました。
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