アナグラのshinです。
switch/XboxOne/PC にて配信されている『Carrion』は、「触手モンスター×アクション×美少女」
の3要素から『美少女』を跡形もなく取り去って『グロ』に挿げ替えたゲームです。
僕は文化的な見地から言われる所の、触手モンスターと美少女の関係性にあまり詳しくないのですが、触手モンスターと言えば0.2秒で「美少女!」と連想できるくらいには穢れています。
文化的遺産と言える伝説の春画「蛸と海女」の様な世界観では無いと重々承知していましたが、それでも触手モンスターとして恐怖を与える側になれるという所にロマンを感じたので購入しました。
美少女要素なんて1mmも無く、子供の頃にさんざんビビらされたホラー映画のモンスターになれるなんて、このゲーム製作者の心の闇のなんて深い事……
最高かよ……
この記事ではswitch版の『Carrion』をプレイした感想になります。
『Carrion』のストーリー
プレイヤーが操作する触手モンスターを仮に「物体X」とします。
ゲームを始めると、謎の施設で何かの実験体としてケージに閉じ込められている「物体X」のシーンからスタートします。
そのケージを壊し、人間を食い散らかしながら施設からの脱出を目指します。
ストーリーの主軸は以上です。
『Carrion』のストーリーには詳しい説明がありません。 与えられた状況に「物体X」として、様々なアクション(能力)を駆使して進んでいきます。
その途中で断片的に「物体X」が何なのか、ヒントの様なものが明かされていくのですが、それがゲームを進める楽しみの一つだと思いました。
美少女は出ません。 慈悲はなく、血と触手と断末魔と共に進むゲームです。
『Carrion』のプレイフィール
『Carrion』は2Dドット絵のアクションゲームです。
全体的に操作は軽快で、簡単なパズル要素もあり、2Dドット絵ながら細かい描写と練り込まれた雰囲気がマッチしてユニークなゲーム体験ができました。
あまり見かけないコンセプトなので、ゲームとしてもエンターテイメントとしてもプレイする楽しさはあったなと感じています。
ただ、事前情報でゲーム画面などを見た時に探索型の「メトロイドヴァニア系」だと期待したのですが、違いました。
だからといって残念だった訳では無く、触手モンスターを主人公にしたニッチなホラー要素をぎゅっと凝縮した感じで、存分に楽しめました。
『Carrion』の基本的な操作
「物体X」はLスティックでスルスル、ヌルヌル、ヌメヌメ、素早く軽快に動かせます。
移動する際に「物体X」が方々に触手を引っ掛けながら進む姿に、製作者の触手モンスターに対する強いこだわりを感じます。
敵は主に“人間”です。 倒すには食べるしかありません。
基本的な攻撃はRスティックを倒した方向にZRボタンで触手を伸ばします。 ZRボタンを押しっぱなしにしていると、触手を伸ばした先にあったモノを掴みます。
それが人間だった場合は掴んだまま、Rスティックを離す(ニュートラル)とじわじわ引き寄せて食べる事ができます。 人間を食べるとライフが回復するので、ピンチの時こそ捕食対象を探さなくてはいけません。
敵である人間はただ逃げ惑うだけの無力な者もいますが、銃や火炎放射器などの武装した者など、襲う上で正面から向かうには危険な人間もいます。
そんな「物体X」を駆逐しようとする者を上から、または下から、後ろから、と出し抜いて捕食するのは、いつか見たホラー映画のワンシーンを連想させられます。
例えば武装した人間が「物体X」を見つけると、攻撃をしかけてくるのですが、触手モンスターのくせに打たれ弱く、すぐ死にます。
そこで、ZLボタンで奇声を上げ、人間の注意を引き付けたら裏から背後へ回って捕食するなどのテクニックが重要になってきます。
他にも人間の注意を引き付ける方法はありますが、ホラー映画を思い出しながら試すのも楽しみの一つだと思いますので割愛します。
パズル要素
敵との戦闘だけでなく、謎の施設を脱出する為、様々な能力を駆使して進む必要があります。
新しい能力は施設を徘徊する道すがら「物体X」と同じケージに捕らえられた別の「物体X(新たなDNA)」を取り込む事で獲得していきます。
施設内は、この能力を使う事で通れなかった所が通れたり、届かなかったスイッチに触手が届いたりと、道を切り開いて行く事ができる様になります。
同時に、能力によっては戦闘でも活用できるものがあるので、戦い方に幅も増えて行きます。
能力はX、L、R、ZL、ZRの4つのボタンに割り振られていているのですが、それぞれのボタンに割り当てられた能力は施設を進み「物体X」の形態が進化する事で変化します。
この形態は特定の場所でのみ切り替えが可能になっています。
形態の切り替えと能力の変化が、パズル要素を解いていく上で、ちょっと歯ごたえのあるものになっているなと感じました。
ただ形態を変更するのに、特定の場所にいちいち戻らなくてはならないのは、少し面倒くさいと要素だなとも思いました。
人間以外の強敵もいる
施設内を進むと、人間以外にドローンやロボットといった食えない奴が配置されています。
人間相手に培ってきた捕食のテクニックを最大限に駆使して戦えるので、難易度の少し高い戦闘も楽しめました。
ただ、いわゆる「死にゲー」というほどの難易度ではなく、多い敵の配置や強敵との遭遇に対して2~3回くらいのトライ&エラーで潜り抜けられる感じで、サクサク進めました。
どちらかと言うと、パズル要素に右往左往している時間の方が長かった印象です。
ステージクリア型パズルアクション?
戦闘の操作性や、能力によるパズル要素など、一通りプレイしてみると「ステージクリア型パズルアクション」といったイメージが強かったです。
理由として、例えばルートが3つに分かれていて、最初は“ルート1”しか進めません。 その先でパズルを解くと、新たな能力を発見。 最初の分かれ道に戻って新しい能力を使い“ルート2”へ進みます。 その先でパズルを解くと“ルート3”へのゲートが開かれ先に進める。 といった感じの1本道なので、探索しているように感じて実は同じ所を行ったり来たりしている印象です。
それは、全体マップとしては広い中の区切られた一部の中だけで移動しパズルを解き、解いた後は別の区画へ進む、といった流れなので、自由な探索を期待している人には肩透かしに感じるかもしれません。
メトロイドヴァニア系のような、能力の獲得順や攻略ルートをある程度自由に決められるといった多様性はありません。
ただ、ステージクリア型パズルアクションとして見るなら、十分楽しめる内容でした。
ステージをクリア? 進むたびに謎の施設を「物体X」が侵食していっている! と感じられてワクワクしたりはしましたよ。
おわりに
『Carrion』のげーむコンセプトを知った時。 「この製作者はイカれてるな。 だがそれがいい!」と思ったのでプレイしてみました。
遊んでみれば、ある種の層にあてこんだ様なキワモノではあるのですが、バカゲーではなくしっかり作り込まれた“良ゲー”でした。
暗い施設内を怪物の唸り声と悲鳴、混乱と銃声が響くような、ホラーを地で行っているにも関わらず、立場が怪物側というだけでちっとも怖さがないのは不思議なものですね。
むしろ人間を“大嫌いなアイツ”に見立てて「この野郎! こうか? お前なんかこうだー!」って言いながら食い散らかすとスッキリします。 というのは嘘ですけどね。 わら人形たべるのタノシイナーくらいのものです。
あと、単純にこのゲームをそのまま、1人の人間として触手の怪物がうろつく施設から脱出するゲームにするだけで、かなり怖いゲームになるんじゃないかなと思いました。
ここまで記事をお読み頂き、ありがとうございました。
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