アナグラのshinです。
2020年12月25日に待望の完全ワイヤレスイヤホン、AVIOTの『TE-BD21j』が届きました。
『TE-BD21j』は音質の良さに定評があった「TE-BD21f」の後継機にあたる機種です。
価格は15000円前後(2021年1月現在 Amazon価格)ですが、完全ワイヤレスイヤホンとして2万円台の完全ワイヤレスイヤホンに迫る高音質が味わえて、基本的な機能性も兼ね備えたコスパの高さが人気に繋がっていると感じます。
30時間ほど聞いてみた感想としては、完全ワイヤレスイヤホンの利便性が欲しいけど、音質も妥協したくない。 でも毎日使う物だから消耗品として出費はなるべく抑えたいという方にマッチするイヤホンだと思いました。
ただ、音楽を聴くのが主目的なら満足できますが、通話品質やアンビエントマイクの効きに少し不満があったので、実装されている全ての機能に完璧は求めない方がいいかな、というのが1週間ほど使って見た感想です。
そうは言っても、完全ワイヤレスイヤホンとしては音質が良く、その1点だけで元が取れたと思えるくらいには満足しています。
※検証にはスマホのXperia1(Android10)と、Xperia XZ1(Android9)を使用してイコライザ設定はデフォルトで行っています。
『TE-BD21j』の内容物
イヤホン本体とケース以外の内容物は以下の通りです。
- USB Type C ケーブル 1本
- イヤホン落下防止のストラップ
- 標準のイヤーチップ S/M/L それぞれ1ペア
- ウレタンフォームのイヤーチップ S/M/L それぞれ1ペア
- 専用ポーチ
- 説明書
- 製品保証登録カード
特筆するような所はありませんが、イヤホンをバッグに入れて物とぶつかって傷ついたり傷つけたりするのが嫌なので、ポーチが付いているのは嬉しいですね。
それとType Cケーブルに統一したいと考えているので、対応してくれたのもありがたいです。
『TE-BD21j』の外観とイヤホンの付け心地
今回購入したのは、シルバーです。
どことなくですが、AVIOTのロゴデザインとシルバーのケースの組み合わせにミリタリーチックな雰囲気を感じて、そこがカッコイイなと思ってシルバーにしました。
このデザインと見た目なら傷ついたり汚れたりしてきても雰囲気がよくなる様な気がして期待しています。
ケースのフタはスライド式になっていて、開閉はスムーズです。
イヤホンはケース内のマグネットでしっかり付いていて、ケースから落ちる心配は無いし、ケースに戻す時も割とアバウトに入れても磁力に引かれてしっかり収まってくれます。
ただデザインを重視するあまり、イヤホンを取り出す時は取りにくく、利便性を犠牲にしたような印象はあります。(慣れの問題かもしれませんが、イヤホンを取り出す時に上手く取れずに落としそうになります)
イヤホン本体はタッチセンサー部分が卵の様なフォルムになっているので、ケースからの出し入れや耳への装着時の方向が分かりやすくなっています。
イヤホンの付け心地は、個人差があるので飽くまで参考程度ですが、玉子型の先端(鋭角の部分)を上に向けた状態で耳の奥へと入れながら、反時計回りに回すと耳穴の奥へ入り込みしっかりとフィットする感覚があり、安定感もありました。
『TE-BD21j』の音質
30時間ほど鳴らした時点でのレビューになりますが、手元に届いて開封直後の時点でも音質はかなり良かったので、今後鳴らし続ければもう少し変化するのかと思うと楽しみなくらい聴きごたえのある音質です。(下の方に100時間ほど鳴らした後の音質について追記しています)
全体的に音の解像度が十分にあり、細かな音も聞き取れるので、ドラムをやっている方など耳コピ用にも使えるレベルだと思います。
音場はあまり広く感じません。 狭い防音室(聴力検査の時の電話ボックスみたいな所です)に良いスピーカーを置いて音を鳴らしている様な感じがします。
中音域が最も強調されていて、それに低音域、高音域と続くような印象です。
高音は刺さる様な不快感なく控えめな印象ですが、クリアで伸びやかだと思います。
低音はキック感にキレを感じる気持ちのいい音に感じますが、重低音は少し籠ったような印象を受けるので、中音域を中心として引き立てる様に、高音質に聴こえる音域はコンパクトな範囲にまとめられている感じがします。
ハードロックなどのバンド系の曲が聴いていて歯切れよくソリッドに聞こえて一番気持ちよく感じました。
また、音量も十分に出ていて、スマホ側の音量設定を60~70%ほどにすれば電車の中でも走行音に邪魔されずに音楽を楽しめます。 その上で音漏れも極小なので周囲に気兼ねする事なく音楽を鳴らせます。(友人に協力してもらって静かな部屋で音量を90%ほどにして音漏れをチェックしてもらいましたが、意識して聞くと若干するとの事で、音漏れを相当抑えてくれる様です)
現状では30時間ほどしか聴き込んでいないので、更に20~30時間ほど鳴らせばまた少し音質に変化があるかもしれません。 目立った変化が感じられたら追記したいと思います。
2021年1月21日 追記
その後100時間以上聴き込んだのですが、最初に感じた特徴はそのままに硬い印象だった音が柔らかい印象に変わり、低音よりの音の響きが深くなって迫力が増した気がします。
鳴らし続ける事で、音質は良くなったという印象がありました。
『TE-BD21j』はAVIOTのアプリ“SOUND XXX”対応
“SOUND XXX”に対応しているので、タッチ操作の簡単な変更や、10バンドのグラフィックイコライザーによる音質の調整、ファームウェアのアップデートなどがアプリを通して簡単に行えます。
特にイコライザーによる音質の調整が出来るのは嬉しいですね。
デフォルト設定でも十分に音質はいいのですが、自分好みに変更できる余地があるのは音楽を聴く楽しみが広がります。(イコライザー設定についての記事は↓↓こちら↓↓)
『TE-BD21j』のアンビエントマイク性能
旧モデル「TE-BD21f」には無かった外音をイヤホンに取り込む機能“アンビエントマイク”が『TE-BD21j』には実装されています。
『TE-BD21j』は耳に装着しただけで、外音がかなりカットされます。 音楽を流していない状態でも目の前の相手の会話がかなり聞き取りにくい状態になるので、必須の機能だとは思います。
音楽停止中でのアンビエントマイクON
検証は自宅で行い“YouTube”の動画からマシンガントークの様に喋るユーチューバーの動画を再生した状態で行いました。
まずイヤホンを装着した状態で、再生されたYouTube動画の音声は4~5割の音量がカットされた印象になります。
そこから「アンビエントマイクON」にすると、2~3割ほど音量が上がる様に感じます。
ONにしても耳で直接聞くよりは抑えめな音量で聞こえるので、静かな部屋の中で「アンビエントマイク」を使う分には使えなくもないですが、喧騒の中では少し微妙でした。
ここからは電車内での使用感に移ります。
実際に、運行中の電車内で使用してみたのですが、車内アナウンスの音声に集中しないと聞き逃してしまいそうな音量で聞こえます。
アンビエントマイクをOFFにすると、アナウンスを聞き取るのは難しくなるので、機能としては無いよりはマシかな、というレベルでした。
音楽停止中でのアンビエントマイクON
音楽再生中に「アンビエントマイクON」にすると、再生されてる音楽の音量が30%ほどに低下した状態になりますが、流れている音楽と外音を差別化して分かりやすくする為か、取り込んだ外音の音質が、音楽停止中の時と違います。
音楽再生中でアンビエントマイクをONにすると、高音だけを強調したようなカチャカチャした軽い音で聞こえます。
ナイロン製の生地が擦れてシャカシャカ鳴る音やビニール袋のカサカサ音などがやけに耳に突く印象の音質です。
室内で音楽再生中にアンビエントマイクをONにした場合に相手に普通に喋ってもらうと、なんとか聞き取れるレベルで、実用的かと問われると肯定し辛い印象です。
電車内だと電車の走行音や他人の会話などの雑音が入り混じった中で、他の音に相手の会話が所々かき消されて聞こえたりと『何か言っているのは分かる』程度で、内容が把握できない事が多々ありました。
「〇kafi☆ だよね?」
「え? なんだって?」
「〇かjali☆ だよね?」
「え? なんだって?」
といった感じで、疑似的に難聴になる貴重な体験ができます。
ただ、車内アナウンスの様な大きな音声は、聞き取り難くはありますが内容が把握できる程度には聞こえるので、アナウンス聞き取り用の機能だと思います。
それと余談ですが、外でアンビエントマイクONにした時、風切り音が小さめに聞こえます。 低音をカットして高音だけを強調したようなマイク音質の恩恵かもしれませんね。
『TE-BD21j』の操作性
『TE-BD21j』はケースからの出し入れでON/OFFを切り替えます。
イヤホンをケースに収納すれば「電源OFF」で、ケースから取り出せば「電源ON」となります。
イヤホン単体で電源のON/OFFを切り替えられたら便利だったのですが、それは出来ない様です。
続いて、イヤホンのタッチ操作の操作感に移ります。
『TE-BD21j』は全ての操作をタッチ操作で行います。
L側 | R側 | |
再生 | 1タップ(0.5秒程度) | 1タップ(0.5秒程度) |
停止 | 1タップ(0.5秒程度) | 1タップ(0.5秒程度) |
曲送り | ─ | 2タップ |
曲戻し | ─ | 3タップ |
音量を上げる | 3タップ | ─ |
音量を下げる | 2タップ | ─ |
受話 | 着信時に1タップ | 着信時に1タップ |
通話終了 | 通話中に1タップ | 通話中に1タップ |
実際に操作した印象は、タッチセンサーを操作した時のレスポンスが良く、タッチしたのに操作を受け付けていない事象がほとんどありません。
ダブルタップもトリプルタップも失敗が少ないので、タッチの受付範囲が広く、感度も良好なのかもしれません。
また、誤操作防止の為だと思いますが、1タップの操作は一瞬タッチするだけでは反応しない仕様になっていて、約0.5秒程度タッチすると操作を受け付けてくれます。
イヤホンの位置を直そうとした時に、タッチセンサー部分に少し触れてしまって音楽を止めてしまう事が多かったので、この仕様は良いと思いました。
音量の上げ/下げや、曲の送り/戻しは専用アプリ「SOUND XXX」で割当の変更が可能なので、ある程度自分好みに変更する事も可能です。
『TE-BD21j』の接続安定性
人の多い都市部へ電車で行く用事があったので、接続が途切れたりするか検証してみました。(といっても時節柄、人が密になる様な状況ではありませんが)
結果、一度も不安定になったり途切れたりする事はありませんでした。
Qualcomm社製の最新SoC『QCC3040』の“TrueWireless Mirroring” と “ロールスワッピング”機能のお陰でしょうか? 接続の安定性はかなり高いと感じました。
従来のワイヤレスイヤホンで、接続の安定性が高い物といっても、まれに一瞬途切れたりする事があったのですが『TE-BD21j』は更に“途切れ”がありませんでした。
家の中でも、壁やドアで間を隔てた状態で5~8mほど離れても接続が不安定になる素振りすらありませんでした。
また余談ですが“TrueWireless Mirroring”機能のお陰で、接続時の端末側の表示が「AVIOT TE-BD〇〇〇 L」と「AVIOT TE-BD〇〇〇 R」の様に2つ表示されていたものから『AVIOT TE-BD21j』の1つだけ表示される様になったのはスマートで良いなと思いました。
イヤホンのバッテリー残量も、クイック設定パネル上で確認できるのもありがたい仕様です。
『TE-BD21j』のバッテリー性能チェックと残念な仕様
『TE-BD21j』のイヤホンはバッテリー容量50mAh(L/R 計100mAh)です。 スマホとのAptX接続で音量は70%ほどだと約7時間前後連続再生できましたので、十分すぎる再生時間だと思います。
ケースはバッテリー容量500mAhです。 数値上はL側/R側のイヤホン 計100mAhを5回フルチャージ出来る計算なので、30時間程度は使えるとするとケースへの充電はそこまで頻繁に行わなくてもよさそうだと思っていました。(実際に検証した、ケース込みの再生時間はもう少し下の方に書いてあります)
ケースのバッテリー残量は4つのLEDライトのインジケーターで示されています。
また、ケース脇に付いた丸いボタンを1回押すと、いつでもインジケーターが点灯し残量を確認できるので便利です。
イヤホンの充電が完了したかどうかは、ケース収納時にイヤホンのLEDランプがオレンジに点灯していたら充電中で、消灯していたら充電完了と分かりやすくなっています。
イヤホン単体のバッテリー性能
イヤホン本体のバッテリーを100%の状態にし、Spotifyでダウンロード済みの楽曲を、スマホの音量90%程度にて流し続けました。
結果、7時間ほど音楽を聴き続ける事ができました。(5回ほど試した結果、7時間30分くらいの事もあれば、6時間30分くらいの事もあり、だいたい7時間前後といった所です)
7時間前後、連続再生できるので十分なスタミナだなと思います。
ケース込みでのバッテリー性能
ケース込みでのバッテリー性能の検証は、先ほどのイヤホン単体の時の様に、イヤホンとケース共にバッテリーをフル充電した状態からスタートし、スマホの音量を90%程度にしてSpotifyでイヤホンのバッテリーが5%程度になるまで使用します。
イヤホンのバッテリー残量が5%程度になったら、ケースへ戻しフル充電して、またスマホに接続し、5%程度まで使い込んだらケースで充電を繰り返します。
その結果、何時間再生出来たかを見てみました。
ちなみにイヤホンのバッテリー残量を5%程度としたのは、ここまで使い切ると、L側R側のどちらかが電源OFFになり始める為、両方のイヤホンがONになっている限界がだいたい5%程度だったのがその理由です。
結果は、7時間程度連続再生→バッテリーでフルチャージのサイクルを3回行う事が出来ました。
4回目のチャージは、イヤホンが20%まで充電されたところでケースのバッテリー切れとなりました。
つまり、フルチャージでイヤホンを使う事が出来たのは 4回 となり、計28程度となりました。
最後の半端なチャージ分で2~3時間くらいは使えそうですが『TE-BD21j』の残念な仕様が分かってしまった為、省きました。
TE-BD21j ケースの残念な仕様
残念な仕様とは「イヤホンをフルチャージする前にケース側のバッテリーが切れると、イヤホンの電源がONになる」という仕様です。
これは『TE-BD21j』の説明書に『本体充電時に充電ケースのバッテリー容量が無くなった際、本体が自動的にデバイス機器に接続される場合がございますが、これは故障ではありません。充電ケースへのこまめな充電をお願い致します。』と明記されています。
実際にスマホのBluetooth接続がONになっていると、ケースに戻してイヤホンが電源OFFとなり、スマホとの接続が切れても、ケースがバッテリー切れになった際に、イヤホンが電源ONになり、スマホと再接続されたのを確認しました。(上の画像がその時の様子です)
なら、スマホのBluetooth接続をOFFにしておけばと考えたのですが、どうやら一度イヤホンの電源がONになると、バッテリー残量が残っているケースでないとイヤホンの電源をOFFにできない仕様らしく、ペアリング先を求めて動き続ける様です。
試しに、ケースのバッテリー切れでONになったイヤホンがどこにもBluetooth接続できない状態で一晩放置した所、朝にはイヤホンのバッテリーも切れていました。
イヤホンがフル充電される前にケースのバッテリー切れでイヤホンがONになってしまう仕様がどの程度のものなのか(例えば、90%以上充電が完了していれば、ケースのバッテリー切れでもイヤホンがONにならないとか)わかりません。
今の所は、ケースのバッテリー残量を示すインジケーターが2個点灯になったら、充電したほうが無難だと思います。(ファームウェアのアップデートとかでなんとかなるといいな!)
『TE-BD21j』の遅延について
動画再生時の遅延を確認してみましたが、まったく気にならないレベルなので、YouTubeやNetflixなど快適に視聴する事ができました。
ただ、相変わらずゲームでは気になるレベルの遅延を感じるので、音ゲーには使えません。(ワンテンポ遅れてSEが聴こえます)
『TE-BD21j』の防水
完全ワイヤレスイヤホンは製品の性質上、外に持ち出す機会が多い物なので、防水性能を備えているかは重要だと思います。
『TE-BD21j』は“IPX4”相当の防水性能で、汗やちょっとした雨に降られる程度なら耐える仕様です。
ただケースが防水仕様ではないので、外出中に雨に降られた場合はケースを水濡れから守らないといけないと考えるとなんかモヤモヤしますね。
「人間は防水(by光の魔術師イルコ)」という素晴らしい格言があるので、人の手で守ってあげましょう。
いつかケースも含めて防水仕様の製品が出る事を期待しています。
『TE-BD21j』の通話性能について
実際に電話を掛けて相手に普通に通話した時の音声の質と『TE-BD21j』を使って通話した時の音声の質に違いがあるか確認してもらいました。
結果、普通に会話した時と比べ『TE-BD21j』を通して会話する時の音声が音量が小さく、遠くで喋っている様に聞こえるとの事でした。
ただホワイトノイズなどの雑音は一切ないので、声が遠いだけで会話はできる様です。
逆に相手の会話を聞くのは、雑音なくハッキリと声が聞こえます。
現状テレワーク等の重要な内容を含む通話では、相手に聞き取り辛い重いをさせる可能性があるので、仕事では使わない方が無難かと思います。
おわりに
15000円前後で買える完全ワイヤレスイヤホンとしては、音質重視で選ぶ場合、選択肢の一つとして入れても良いイヤホンだと思いました。
ワイヤレスイヤホンは、音質も重要ですが、デザインやケースを含めた大きさ、重量、バッテリー持ち、アンビエントマイクの有無や、ノイズキャンセリングの有無など、機能性のバランスが重要な製品だと感じます。
TE-BD21jはノイズキャンセリング機能は無いものの、イヤホン自体の遮音性が高いので音楽を鳴らせば外の音はほとんど気にならない上に、割と大き目な音量で音楽を聴いていても、音漏れがほとんどないので、電車の中でも十分な音量で周囲に気兼ねなく使える点が、ノイズキャンセリング機能が無いハンデを補っていると思います。
ケースは今どき普通の大きさと重さだと思いますが、それでも十分コンパクトだと感じるし、バッテリー持ちは良く、軽い防水性能も備えているので、バランスの良いイヤホンだと思います。
ワイヤレスでも音質の良いイヤホンが欲しいけど、なるべく値段の安い物が良いなら候補に加えてみてはいかがでしょうか?
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
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